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2009年3月4日水曜日

みんなでいたずら


アップルのCEO、スティーブ・ジョブズとともにアップル社の創業メンバーである、スティーブ・ウォズニアック、通称ウォズの自伝「アップルを創った怪物」(実際はジーナ・スミスによるインタビュー構成)を読んだ。

それまで、彼についてまとまって書かれているのは、スティーブン・レビーの書いた「ハッカーズ」ぐらいではなかったかと思う。「ハッカーズ」は1950年代から、パソコンの黎明期である1970年代終わりごろにかけての、ハッカー列伝として、とても読み応えがあるものだ。この中でも、ウォズは、ただ一人、単独で1章を割いて採りあげられているハッカー中のハッカーと言える存在。何しろ今のPCのプロトタイプ、アップルIIを独力で作り上げた傑物なのだ。乱暴に言い切ると、世界で最初にPCで成功した企業「アップル社」で、ジョブズは売る人であり、ウォズは創る人だった。売る人は創る人がいないと何もできない。

中村正三郎も指摘しているように、この本、前半が面白い。教え上手の技術者の父親の下で、どんどこ知識と技術を習得していく子ども。

ウォズが、この自伝インタビューで、とても楽しげに語っているのが彼がしでかしたいたずらの数々。「ハッカーズ」にもいたずらのことは少し書いてある。だが、第三者的に書かれているから、それがどれだけウォズの中で重要な位置を占めるのかはよくわからなかった。自伝を読めば、それが母親からの遺伝でもあり、彼の人生と切っても切り離せない存在であることが見て取れる。勤勉で誠実、だからヒッピー文化のただ中にあって、誘われてもドラッグに手を染めることなど決してなかった。そうした生真面目さを開放して、日常に彩りを添えるものが彼にとってのいたずらなのかも知れない。

ウォズは、みんなで何かを一緒にする、というのがどちらかというと苦手なタイプだ。決して根暗ではないが、閉じこもりがち、にはちがいない。
最高の発明家とかエンジニアっていうのは「じつは」アーティストなんだ。
「そしてアーティストが真価を発揮するのは一人で仕事をするとき」・・・・・企業という枠組みの外側、マーケティングだのなんだのの委員会でよってたかって設計するような場所じゃなく、自分一人で好きなように設計できるときだ。
そうしたことと相まって、彼のいたずらも、基本的には一人か、自分の支配のもとに誰かを動かして行うものが多い。

ウォズはImprov Everywhereの活動を知っているのだろうか。そして、どんな感想をもつのだろうか。


大下文輔

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